にきびとは

にきび・酒さのイメージ写真

にきび(尋常性ざ瘡)は、毛穴の出口がつまること(角化の乱れ)と皮脂の分泌増加がきっかけとなり、毛穴の中で菌が増えたり炎症が起こったりして生じる皮膚の病気です。
思春期に多い一方で、大人になってから、あご周りなどに繰り返す「大人にきび」もよくみられます。

痛みやかゆみ、メイクのりの悪さに加え、見た目の悩みから外出や人前がつらくなるなど、日常生活や気持ちの面に影響してしまうことも少なくありません。
さらに、炎症が長引いたり、自己流でつぶしたり掻いたりすると、にきび痕(瘢痕)が残りやすくなるため、早めに適切な治療を始めることが大切です。

にきびの症状

にきびは段階によって見た目と治りやすさが異なります。
最初は毛穴がつまった状態の「面皰(めんぽう)」で、白いポツポツ(白ニキビ)や黒い点状(黒ニキビ)が目立ちます。
ここに炎症が加わると赤く腫れた「紅色丘疹(赤ニキビ)」となり、さらに悪化すると膿をもつ「膿疱(黄ニキビ)」、しこりのように深く硬く腫れる「結節」へ進むことがあります。

炎症が強いにきびや、長期間放置して深い結節を繰り返した場合は、治ったあとも肌に凹凸が残ることがあります。
代表的には、皮膚がへこんだクレーター状の萎縮性瘢痕(アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型など)や、盛り上がって硬くなる肥厚性瘢痕・ケロイド、赤みが続く炎症後紅斑、茶色っぽい炎症後色素沈着などが挙げられます。
にきび痕はできてしまうと改善に時間がかかるため、「今あるにきびを治すこと」と同時に「痕を残さないこと」を意識した治療が重要です。

にきびの治療

にきび治療は、炎症を抑えるだけでなく、毛穴のつまりを改善して再発を予防することが基本です。
当院では薬物治療を中心に、症状の段階や部位、肌質に合わせて外用薬・内服薬を組み合わせ、必要に応じて治療内容を調整します。

外用治療の柱となるのが、毛穴のつまりを改善するアダパレンと、菌や炎症を抑える過酸化ベンゾイルです。
アダパレンは皮膚の角化の乱れを整え、面皰をできにくくすることで、にきびの「土台」から改善を目指す薬です。
使い始めは乾燥、赤み、ヒリヒリ感、皮むけなどの刺激症状が出ることがありますが、塗り方や頻度、保湿の工夫でコントロールできる場合が多く、継続することで再発予防にもつながります。

過酸化ベンゾイルは、にきびの原因に関わる菌の増殖を抑える作用と、毛穴の詰まりを改善する作用を併せ持つ薬です。
抗菌薬と異なり耐性菌の問題が起こりにくい点も特徴です。
副作用としては、乾燥、赤み、刺激感、かぶれ様の反応がみられることがあり、肌が敏感な方では慎重な導入が必要です。
使用部位や塗布後の注意点も含めてご案内します。

にきびは「治ったら終わり」ではなく、落ち着いた後も再発を防ぐ維持治療が重要です。
症状が軽い段階から皮膚科で適切に整えることで、にきび痕を残すリスクを下げることができます。

皮膚常在菌とにきびの関係

人の皮膚には、目に見えないほど多くの「皮膚常在菌」が存在し、肌の状態を保つうえで重要な役割を担っています。
常在菌はすべてが悪者というわけではなく、バランスが取れていることが健やかな肌につながります。

にきびに関わる代表的な菌がアクネ桿菌です。
アクネ桿菌は毛穴の中にいる常在菌で、肌を弱酸性に保ち肌を守る働きをしています。
しかし皮脂が多く毛穴が詰まる環境になると酸素が足りなくなり、「CAMP因子」と呼ばれる炎症惹起物質をだして炎症を引き起こす一因になります。
一方で、表皮ブドウ球菌は「美肌菌」と呼ばれることもあり、肌表面でほかの有害な菌が増えすぎないように抑えたり、皮膚の状態を安定させたりする働きがあると考えられています。

そのため、にきび治療やスキンケアでは、炎症はしっかり抑えながらも、肌のバリア機能と常在菌のバランスを崩しすぎないことが大切です。
洗いすぎや強い摩擦、自己流の頻回な消毒は乾燥と刺激を招き、結果的に悪化につながることもあります。
当院では薬の使い方だけでなく、肌質に合った洗顔・保湿・紫外線対策など、常在菌も意識した現実的なケアをご提案します。

にきびの自費診療について

当院ではにきびの治療として、保険適用外(全額患者様負担による自費診療)とはなりますが、ケミカルピーリング、アゼライン酸クリームによる治療も行っています。

酒さとは

酒さは、主に顔の中央(頬、鼻、額、あご)に赤みやほてり、毛細血管の目立ち、ぶつぶつなどが出る慢性の炎症性皮膚疾患です。
体質や皮膚のバリア機能の乱れ、血管反応の過敏さ、紫外線、温度差、ストレス、刺激物などが関与すると考えられており、単一の原因で説明できないことも多いのが特徴です。

赤ら顔として長く悩んでいたり、にきびと間違えてケアを続けたりした結果、悪化してしまう方も少なくありません。
見た目の悩みから気分が落ち込みやすく、化粧品がしみる、暑さ寒さで悪化するなど日常生活への影響も出やすい病気です。

酒さの症状

酒さは、症状の出方や進行によりいくつかのタイプに分けて考えます。
初期には、顔がほてりやすい、赤みが出たり引いたりする、といった症状が目立ちます。
次第に赤みが持続し、毛細血管が浮き出るように見えることがあります。

さらに炎症が加わると、にきびに似た赤いブツブツや膿をもつ発疹が出ることがあり、ひりつきや灼熱感、皮膚の乾燥が強くなる方もいます。
重症化すると、特に鼻の皮膚が厚くなって凹凸が目立つタイプに進むこともあります。
また目の乾き、充血、異物感など、眼の症状を伴う場合もあり、見逃さないことが大切です。

酒さの治療

酒さの治療は、炎症を抑え、赤みやほてりの悪化を防ぎながら、皮膚の状態を安定させることを目指します。
薬物治療では、症状のタイプや程度に応じて外用薬・内服薬を使い分け、刺激に弱い肌でも継続できるように調整します。
酒さは経過が長くなりやすいため、短期間で完璧を目指すというより、悪化の波を小さくしながら安定した状態を作ることがポイントです。

日常生活では、悪化因子を把握して避けることが大切です。
紫外線、急な温度変化、熱い飲食物、香辛料、アルコール、過度な運動、ストレス、肌への摩擦や刺激の強いスキンケアなどで症状が増悪することがあります。
洗顔はやさしく、保湿と紫外線対策を基本に、刺激の少ない化粧品選びも含めてサポートします。

にきび・酒さに対する自費診療(保険外診療)について

にきびや酒さは、保険診療の薬物治療で改善が期待できる一方で、炎症後の赤みや色素沈着、繰り返すにきび、毛穴の目立ち、酒さの赤みが残る場合など、症状や目的によっては保険外診療が有効なこともあります。
当院では肌状態とご希望を丁寧に伺い、必要な方に自費診療をご提案します。

にきびも酒さも、「似ているようで治療が違う」ことが多い症状です。
繰り返す赤みやブツブツ、にきび治療をしているのに良くならない、にきび痕が心配、といった場合も含め、早めに皮膚科へご相談ください。
症状の見極めから、保険診療・自費診療まで一人ひとりに合わせた治療をご提案します。

ケミカルピーリング

角質や毛穴の詰まりにアプローチし、にきびができにくい環境へ整える治療です。
酸の力で古い角質や毛穴詰まりをやさしく除去し、にきび・ざらつき・くすみを改善します。毛穴が詰まりにくくなり再発予防にも有効です。
日本皮膚科学会でも推奨されている治療法で、当院ではサリチル酸マクロゴールを使用しています。

副作用としては、一時的に赤みやヒリヒリ感、乾燥、皮むけが出ることがあり、まれに色素沈着が起こることがあるため、保湿と紫外線対策が重要です。
治療の目安は2~4週ごとに5~10回です。

1回 6,000円(税込)

アゼライン酸クリーム

穏やかな抗菌・抗炎症作用と角化調整作用で、炎症性にきびや毛穴詰まりを改善し、色素沈着にも役立ちます。
アゼライン酸は催奇形性がないため、妊娠・授乳期の方でも選択肢になり得る薬剤として用いられることがあります。
また、比較的刺激が少なく、過酸化ベンゾイルがその刺激感のために使用できない患者様でも使うことができます。
にきびだけでなく、赤みが気になる方や酒さの肌管理の一環として提案することもあります。

副作用としては刺激感、赤み、乾燥、かゆみが出る場合があります。
治療の目安は毎日外用し、8~12週で評価します。