角化症とは
角化症とは、皮膚の最も外側にある角質層(角化)が、何らかの原因で過剰になったり、うまくはがれ落ちなくなったりして、皮膚が厚く硬くなる、ザラつく、鱗屑(りんせつ:粉をふいたような皮むけ)が出る、といった変化を起こす状態の総称です。
角化は本来、皮膚を外刺激から守るための大切な仕組みですが、摩擦や圧迫などの物理刺激、乾燥、体質、加齢、炎症、免疫の異常などが重なると、角化のバランスが崩れて症状として現れます。
角化症の原因は、大きく下記のように分けられます。
- 局所への刺激(靴の圧迫や歩行による摩擦など)で起こるもの
- 皮膚の炎症や乾燥により角化が進むもの
- 免疫反応の異常により皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が過剰になるもの
- 遺伝的な体質が関与するもの
角化症とされる疾患には、たこ・ウオノメ、乾癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬(毛孔性角化症)、掌蹠角化症、日光角化症、脂漏性角化症などが含まれます。
見た目が似ていても原因や治療が異なるため、自己流の削り方や市販薬で悪化する前に、皮膚科で原因を確認することが大切です。
たこ・ウオノメ
たこ(胼胝)とウオノメ(鶏眼)は、足の裏や指など、同じ場所に繰り返し圧迫や摩擦が加わることで角質が厚く硬くなった状態です。
どちらも「角化」によって皮膚が自分を守ろうとした結果ですが、特徴には違いがあります。
たこは比較的広い範囲が平たく厚くなり、押しても痛みが出にくいことが多い一方、ウオノメは中心に芯(角質のくさび)ができ、歩くたびに針で刺すような痛みを感じやすいのが特徴です。
足底の病変は、いぼ(ウイルス性疣贅)など別の疾患が紛れていることもあるため、見た目のみで判断しないことが大切です。
たこ・ウオノメの原因
原因の多くは、靴のサイズや形が合っていないこと、ハイヒールや先の細い靴などによる圧迫、歩き方の癖や姿勢、足の骨格(外反母趾など)、足裏のアーチの崩れ、長時間の立ち仕事やスポーツなどです。
同じ場所に負担が集中すると角質が厚くなり、ウオノメでは芯が食い込むように形成されて痛みにつながります。
たこ・ウオノメの症状
たこは、皮膚が硬く厚くなり、黄色っぽく見えることがあります。
乾燥が強いとひび割れを起こし、痛みや出血につながることもあります。
ウオノメは中心の芯が圧迫されることで強い痛みが出やすく、歩き方が変わって膝や腰に負担がかかる原因になることもあります。
さらに、自己流で深く削ったり、カッターで切ったりすると皮膚を傷つけ、感染や炎症を起こすリスクがあります。
糖尿病や血流が悪い方では小さな傷が治りにくい場合もあるため、特に注意が必要です。
たこ・ウオノメの主な治療法、予防法
治療は、厚くなった角質や芯を安全に取り除き、痛みを軽くすることが基本です。
必要に応じて、角質をやわらげる外用薬を用いることもあります。
再発を防ぐためには、「なぜそこに負担がかかっているのか」を見直すことが重要で、靴の選び方、インソールや足底板の活用、歩き方の調整、足の保湿ケアなどが予防につながります。
痛みがある場合や繰り返す場合は、自己処理を続けるより、皮膚科で状態を確認しながら整えていくことをおすすめします。
乾癬
乾癬は、皮膚の炎症と角化が同時に起こり、赤い盛り上がり(紅斑)と銀白色の鱗屑(りんせつ)がみられる慢性の皮膚疾患です。
皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が通常よりも著しく速くなり、未熟な角質がたまって厚くなり、はがれ落ちやすくなることで特徴的な見た目になります。
乾癬にはいくつかのタイプがあり、最も多いのが尋常性乾癬で、乾癬全体の約9割を占めます。
ほかにも、細かい発疹が全身に出る滴状乾癬、皮膚が赤く広範囲に炎症を起こす乾癬性紅皮症、膿をもつ発疹が出る膿疱性乾癬、関節の痛みや腫れを伴う乾癬性関節炎などがあります。
皮膚の症状だけでなく、関節症状や全身状態にも目を配りながら治療方針を立てることが大切です。
乾癬の原因、発症の仕組み
乾癬は感染症ではなく、人にうつる病気ではありません。
発症には体質(遺伝的要因)に加え、免疫の働きの偏りが関与すると考えられています。
免疫細胞が皮膚で過剰に反応し、炎症を起こす物質が増えることで、表皮細胞の増殖が加速し、角化が進みます。
さらに、外傷やこすれ、乾燥、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、睡眠不足、感染症、特定の薬剤などが悪化因子として関与することがあり、症状の波を作る要因になります。
乾癬の症状
尋常性乾癬では、境界が比較的はっきりした赤い発疹が盛り上がり、その表面に白い粉をふいたような鱗屑が付着します。
ひじ・ひざ、頭皮、腰回り、臀部など、刺激や摩擦がかかりやすい部位に出やすいのが特徴です。
かゆみは軽い方から強い方までさまざまで、掻くことで悪化しやすくなります。
爪に変化が出ることもあり、点状のへこみや濁り、厚み、はがれなどがみられる場合があります。
関節の痛みや腫れ、こわばりがある場合には、乾癬性関節炎の可能性も考え、早めに評価が必要です。
乾癬の治療法
乾癬の治療は、症状の重症度、範囲、生活への影響、合併症の有無などに応じて、段階的に組み立てます。
軽症では外用治療が中心となり、炎症と角化を抑えることで皮膚症状の改善を目指します。
症状が広範囲の場合や外用だけでは十分にコントロールできない場合には、紫外線療法などを組み合わせることがあります。
さらに中等症〜重症で、日常生活への影響が大きい場合や関節症状を伴う場合には、内服治療や生物学的製剤(バイオ製剤)など、より専門性の高い治療を検討します。
バイオ製剤と内服薬(JAK阻害剤、PDE4阻害剤)
尋常性乾癬に対するバイオ製剤は、下記の3種に大別されます。
- TNFα阻害剤
- IL-17阻害剤
- IL-23阻害剤
このうちTNFα阻害剤は現在ではほとんど行われておらず、IL-17阻害剤若しくはIL-23阻害剤が行われます。
IL-17阻害剤としてはコセンティクス、トルツ、ルミセフなどがありいずれも自己注射可能な薬剤になります。
IL-23阻害剤としてはスキリージ、トレムフィア、イルミア、ウステキヌマブなどがあり、何れも2~3か月に一回院内で注射します。
その他内服薬としてソーテイクツ(Tyk2阻害剤)とオテズラ(PDE4阻害剤)があります。