ウイルス・感染症とは

ウイルス・感染症のイメージ写真

皮膚の病気の中には、ウイルス・細菌・真菌(カビ)などの「感染」が原因で起こるものがあります。
たとえば、真菌による水虫(白癬)、ウイルスによる帯状疱疹や口唇ヘルペス、水いぼ(伝染性軟属腫)などは、日常でよくみられる代表例です。

感染症は、見た目が似ていても原因が異なることがあり、自己判断で市販薬を続けると治りが遅れたり、うつして広げてしまったりする場合があります。
とくに帯状疱疹のように「早い治療開始が回復や後遺症予防に直結する」疾患もあります。
皮膚の症状で気になることがあれば、悪化する前に皮膚科で原因を確認し、適切な治療につなげることが早期回復への近道です。

当院では皮膚科専門医が、症状の見極めから検査・治療まで丁寧に行いますので、早めにご相談ください。

水虫(白癬)

水虫(白癬)は、白癬菌(皮膚糸状菌)という真菌が皮膚や爪に感染して起こる病気です。
足に起こる足白癬が最も多く、年齢を問わずみられますが、長く靴を履く生活や汗・蒸れの環境が続くと起こりやすくなります。
日本では、5人に一人が足白癬(水虫)、10人に一人が爪白癬(爪水虫)にかかっているといわれており、とくに50歳を超えると急激に水虫の発症が増える傾向にあります
症状が軽いと「ただの乾燥」や「かぶれ」と思って放置されがちですが、治療せずにいると慢性化し、家族へうつしてしまったり、爪白癬へ進んだりすることがあります。

水虫(白癬)の原因

白癬菌は角質(皮膚の表面の層)や爪のケラチンを栄養にして増えるため、基本的には皮膚の浅い部分で感染が成立します。
健康な皮膚でも感染する可能性はありますが、足の蒸れ、角質の厚み、傷やひび割れ、乾燥によるバリア低下などがあると菌が定着しやすくなります。

体の免疫は、皮膚のバリア機能に加えて、皮膚の免疫細胞が菌を見張り、炎症反応で排除しようと働きます。
しかし、糖尿病などで皮膚の状態が崩れやすい場合、ステロイドや免疫を抑える治療を受けている場合、強い疲労が続く場合などは、防御のバランスが乱れて治りにくくなることがあります。

水虫(白癬)の種類、症状

足白癬は症状の出方にいくつかの型があり、足の指の間がふやけて皮がむけ、かゆみやヒリヒリ感が出るタイプがよくみられます。
足の裏全体が乾燥して粉をふいたようになり、かかとがガサガサするタイプでは、かゆみが目立たず見逃されることもあります。
小さな水ぶくれが足の土踏まずなどに出てかゆみを伴うタイプもあります。

爪白癬は、爪が白く濁る、黄色っぽく厚くなる、もろくなって欠ける、爪の下に角質がたまって浮いてくる、といった変化が特徴です。
爪の病気は白癬以外にもあるため、見た目だけで決めつけず、検査で原因を確認して治療方針を立てることが大切です。

水虫(白癬)の主な検査、治療法

検査は、患部の角質や爪の一部を採取して顕微鏡で菌の有無を確認する方法が基本です。
必要に応じて培養検査などを行うこともあります。
治療は、皮膚の水虫では抗真菌薬の外用が中心となり、症状が落ち着いて見た目が改善してからも、菌を残さないよう一定期間しっかり続けることが重要です。

爪白癬は外用だけでは改善が難しい場合があり、状態によっては内服治療を検討します。
内服薬としては近年、ホスラブコナゾール(ネイリン)という内服薬が登場し、3か月内服した場合の完全治癒率は60%とされています。
完全に治癒しない場合でもほとんどの場合において爪がきれいになるなどの効果が報告されています。

生活面では、足を清潔に保ちつつ洗いすぎで荒らさないこと、よく乾かすこと、靴や靴下の蒸れ対策を行うことが再発予防につながります。
近年、日本において抗真菌剤に耐性をもった白癬菌も報告されているため、皮膚科を受診して検査を受け、自分に合った抗真菌剤を使ってきちんと水虫を治すことが大切です。

帯状疱疹(ヘルペス)

帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)の原因ウイルスと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、体内で再活性化して起こる病気です。
水ぼうそうが治った後もウイルスは神経節に潜伏し、加齢や疲労、ストレス、病気、免疫力の低下などをきっかけに目覚めると、神経に沿って皮膚に症状が現れます。
比較的高齢の方で増えますが、若い方でも体調が崩れた時に発症することがあります。

帯状疱疹(ヘルペス)の症状

初期には、皮膚に異常が見えない段階から、ピリピリ・チクチクする痛みや違和感、かゆみが出ることがあります。
数日して、体の左右どちらか片側に、帯状に赤みが現れ、その上に小さな水ぶくれがまとまって出てきます。
水ぶくれはやがて破れてかさぶたになり、通常は数週間で落ち着いていきます。
顔に出る場合、とくに目の周りに症状があると視力に関わることがあるため、早急な対応が必要です。

帯状疱疹後神経痛について

帯状疱疹が治った後も、痛みが長く残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。
痛みの性質は、焼けるような痛み、刺すような痛み、触れるだけで痛いといったものがあり、睡眠や日常生活に大きく影響することがあります。
ウイルスによって傷つけられた神経が過剰に興奮することで、痛覚過敏やアロディニア(感覚異常の一つ)などが引き起こされるとみられています。
発症早期の適切な治療は、皮膚症状だけでなく、こうした痛みのリスクを下げることにもつながります。

帯状疱疹(ヘルペス)の治療法、予防法

治療は、抗ウイルス薬をできるだけ早期に開始することが基本です。
早く治療を始めるほど、重症化や痛みの長期化を抑えやすくなるため、「もしかして」と思った時点での受診が重要です。
痛みに対しては鎮痛薬などを併用し、必要に応じて神経痛に対する治療を組み合わせます。皮膚の状態に合わせて外用治療や皮膚のケアも行います。

予防としては、体調管理に加え、帯状疱疹の発症や重症化を抑えるワクチンが選択肢になります。
対象年齢や接種の可否は状況により異なるため、気になる方は受診時にご相談ください。

口唇ヘルペス(熱の華)

口唇ヘルペスは、主に単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因で、唇やその周囲に水ぶくれやただれを繰り返す感染症です。
初感染の後、ウイルスは神経節に潜伏し、体調の変化をきっかけに再活性化して症状が出ます。
ちなみに単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)では、下半身、主に性器に症状が現れます(性器ヘルペス)。

口唇ヘルペスの症状

多くは唇のふちや口の周りに、ピリピリ・ムズムズする前触れが出た後、小さな水ぶくれが集まって現れます。
水ぶくれは破れてびらん(ただれ)になり、かさぶたを作りながら1〜2週間ほどで改善していくことが一般的です。
HSV-1が中心ですが、HSV-2でも口周囲に症状が出ることがあります。免疫が落ちていると重くなることがあるため、症状が強い場合や繰り返しが多い場合は医療機関での評価が大切です。

発症のきっかけとしては、発熱や風邪、強い疲労、睡眠不足、ストレス、紫外線、月経前後などが挙げられます。
唇の乾燥や、強い摩擦・刺激も悪化要因になることがあります。
ご自身の「出やすいタイミング」を把握することで、予防や早期治療につなげやすくなります。

口唇ヘルペスの主な治療法

治療の基本は抗ウイルス薬で、できるだけ早期、特に前触れの段階から開始するほど効果が出やすいのが特徴です。
症状の程度や発症頻度に応じて、内服薬や外用薬を使い分けます。
痛みやただれが強い場合は、皮膚の保護や二次感染を防ぐケアも併せて行います。

口唇ヘルペスにおけるPIT療法について

PIT療法(Patient Initiated Therapy)は、再発を繰り返す方に対して、前触れ(ピリピリ・ムズムズなど)を感じた時点で患者さん自身が抗ウイルス薬を開始する治療法です。
近年、ヘルペスや帯状疱疹の薬であるアメナリーフおよびファムビルという薬剤が、PIT療法での使用を認められました。
あらかじめ処方を受けて手元に薬を準備しておくことで、受診のタイミングを待たずに早期治療ができ、症状を軽くしたり、治るまでの期間を短くしたりする効果が期待できます。
適応があるか、飲み方や注意点も含めて診察でご案内します。

治療の流れ

  1. まず当院を受診していただき、PIT療法の適応となりましたら、アメナリーフもしくはファムビルを処方します。
  2. 処方した薬はとりあえず服用せずに保管しておいてください。
  3. 口唇ヘルペス前触れ(ピリピリ・ムズムズなど)を感じた時点で、
    アメナリーフであれば6錠を一回だけ、
    ファムビルであれば一日のうちに4錠を2回服用します。
  4. その後、受診できるタイミングで受診いただいて、処方を受けて同様に再発に備えて薬を保管しておきます。

年に何度も再発する口唇や口腔内のヘルペスで悩まれている方は是非当院にご相談ください。

水いぼ(伝染性軟属腫)

水いぼは、伝染性軟属腫ウイルスによって起こる皮膚の感染症で、主に乳幼児〜学童期のお子さんに多くみられます。
プールの時期に目立つ印象がありますが、水そのものよりも、皮膚どうしの接触やタオルの共用などが関与しやすい病気です。
アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリアが弱いお子さんでは広がりやすいことがあります。

水いぼ(伝染性軟属腫)の原因

原因はウイルス感染で、皮膚の小さな傷から侵入して増えます。
患部を掻くことで別の部位へうつる「自己接種」が起こりやすく、兄弟姉妹や周囲のお子さんへも接触を介して広がることがあります。
タオルやスポンジ、衣類などの共有がきっかけになることもあるため、家庭内では衛生面の工夫が有効です。

水いぼ(伝染性軟属腫)の症状

皮膚に、光沢のある小さな丸い盛り上がりが複数みられ、中央が少しくぼんで見えることがあります。
痛みは少ないことが多い一方で、周囲に湿疹が出てかゆみが強くなり、掻いて広がるケースもあります。
数が増えると見た目の心配につながりやすく、部位によっては擦れて炎症を起こすこともあります。

水いぼ(伝染性軟属腫)の主な治療法

水いぼは免疫ができることで自然に治ることもありますが、広がり方や合併する湿疹の程度、日常生活への影響を踏まえて治療方針を決めます。
代表的な治療として、専用の器具で内容物を取り除く処置があり、短期間で数を減らしやすい一方、痛みを伴うことがあります。
当院では局所麻酔薬テープを使った摘除を行います。
状態によっては皮膚の炎症を先に整えたり、経過観察を選択したりすることもあります。
掻いて増やさないためのスキンケアや、家庭内での感染対策も含めて、状況に応じた現実的な対応をご案内します。